その言葉に私は二重にハっとした。と、いうのは、カットしてもらっている間に読んでいた雑誌に同じようなことが書いてあったから。「同じようなこと」と言っても、雑誌の方は髪の毛の話ではなく、フェイスケアについての話だったのだが。
つまり、「肌荒れを早く治すには○○の美容液」とか「目の下のくまを隠すにはこのファンデ」とかいうスペシャル・コスメを捜し求めることよりも、まず、洗顔やマッサージなど日々の手入れをきちんとすることのほうがずっと大事である、ということで、「なるほど、そうだよねえ」と納得したばかりだったのだ。
こういう偶然が続いたのは「気をつけなさいヨ」という何かのメッセージだと思うので、改めて考えてみた。
髪や肌のトラブルというと「美容」的な観点から「見た目が悪いからなんとかしたい」ということになるのだけれども、髪や肌にトラブルが起きるということは、結局、食生活の乱れ、睡眠不足、疲れ、ストレスといったようなことが原因であることが多い。つまり、不健康な生活が、不健康な髪や肌をつくる。
ここで、高価な化粧品やエステなど対症療法的スペシャル・ケアに頼ってその場をしのぎ、原因となっている自分の生活の問題点を放置したままにおけば、トラブルは髪や肌にとどまらず、つもり積もって大きな病気を引き起こす可能性もあるのではないだろうか。
ダイエットにしてもそうだ。「○○を食べてやせる」「1週間○○を飲んで5Kgやせた」などという謳い文句の荒療治的ダイエットでは、一時的に体重を減らすことはできても、自分の太る原因となっている生活態度や習慣が治るわけではないので、すぐに戻ってしまう。
テレビや雑誌で毎日のように飛び交っている、××で▲▲が治る!、、○○健康法、健康食品、サプリメント、etc....センセーショナルな「健康情報」には、つい飛びつきたくなる。特に癌なんて病気をしてしまったあとでは、「何か特別なことをしなければ治らない、再発してしまうのではないか」という強迫観念のようなものが常につきまとう。
そして、ちょっとやってみては、すぐ飽きてしまったり、「効いてるのか効いてないのかわからない」と投げ出してしまったり、そして、また次の新しい方法を試したくなる。
でも本当は、まず何よりも、健康のためには、規則正しくバランスのよい食事、適度な運動、充分な休息、ストレスを減らす、そういうことのほうが大切だってことは、よくわかっているのだ。
スペシャルな何かは、スペシャルであればあるほど(高価だったり、入手困難だったり)、短期間で劇的に自分を変えてくれそうに思える。そして、それさえやっていれば、「何か特別なことをしている」という事実が、安心感や希望を与えてくれそうだ。
それにひきかえ、例えば「ご飯をよくかんで食べる」「休養を取る」なんていう、誰にでもすぐに簡単にできそうなことは、簡単であるがゆえに軽視され、そしておろそかにされがちだ。実は「なんでもない簡単なことをコツコツ黙って続ける」というのは、かえってとても難しいのである。しかし、だからこそ、表面だけでなく根本から自分を変えることができるんだと思う。
スペシャルな何かが悪いというわけではない。でも、スペシャル・ケアだけに依存して、基本ケアをおろそかにしたら、結局はなんにもならないってことなんじゃないだろうか。
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